ノルンはパウロとゼニスの娘で、主人公ルーデウスの6歳年下の妹です。
彼女は幼いころから優秀な兄や異母妹のアイシャと比べられ、劣等感に押しつぶされながら生きてきた、平凡な女の子でした。
しかし、彼女はそんな天才達に囲まれながらも、しっかりと自分の人生を歩んでいくこととなります。
今回はそんな努力の人ノルンと運命の相手をご紹介します。
声優情報もあります。
※ネタバレがあります。見たくない方はブラウザバックでお戻りください。
1.ノルン・グレイラットとは
母のゼニスに似た金髪の女の子。アイシャとは同じ日に生まれた。アイシャとは双子のようなものだが、アイシャと違い平凡な能力で、ミリシオンの学校でアイシャと比べられ続けたことで劣等感に苛まれていた。
転生者であるルーデウス、天然の天才であるパウロとリーリャの娘アイシャに比べて、唯一特別な才能のない普通の子でコンプレックスを持っている。最終的には剣術中級、風魔術以外中級、治癒中級、解毒初級の腕前になっている。一般的な騎士と同等以上の能力を持っていることになる。それでも周りにいる天才達には遠く及んではいない。
フィットア領転移事件以来パウロと共に行動し、ミリス神聖国でのフィットア領捜索団の奮闘も傍で見ていた。そのためパウロとルーデウスの喧嘩からルーデウスを嫌い怖がっていた。パウロがベガリット大陸に向かう際に、アイシャと共にルイジェルドを護衛に付けルーデウスの居るシャリーアへ送られた。
ミリス教徒だがルイジェルドに面倒を見てもらったことから魔族に対する差別意識はなく、
ルイジェルドを慕っている。
2.天才に囲まれた凡人
シャリーアに行った先では更に劣等感に苛まれる出来事がノルンを襲います。ルーデウスの家で暮らすことになりますが、そこでも優秀なアイシャと自分を比べ落ち込み、父と仲が悪い印象を持っているルーデウスには、自分も邪険に扱われるのでは無いかと不安になり、孤独を深めていきます。そして、彼女はラノア魔法大学に入学する際に寮に入る事を願い、ルーデウスと距離を取ることを選びます。しかし、ラノア魔法大学でもルーデウスと比べられ、一時は寮の自室に引きこもってしまうまで追い詰められてしまいます。
ルーデウスは王女アリエル、シルフィ、リニア、プルセナの力を借り、女子寮のノルンの部屋に侵入します。前世でひきこもりだった時の自分とノルンを重ね合わせ、どう声を掛けるべきなのか思い悩みます。
ノルンはルーデウスの事が嫌いでした。もともと、物心つく前にエリスの家庭教師として家を出て、次に会った時には父を殴っている兄の姿。
嫌っている兄を褒め、良く言う周りの人達、父パウロも恩人のルイジェルドも護衛に付いていたジンジャーも、ラノア魔法大学の生徒や先生達も。
そして、ルーデウスを恐れるようになっていきます。
家では叱責されるのでは無いか。
寮に入ることを許可したのは厄介払いでは無いか。
学業がついていけなければ家に連れ戻されるのでは無いか。
得体の知れない兄ルーデウスに恐れを抱くようになります。
そんな時に周囲の先生や生徒からは、そんな嫌いな「兄を見習って努力しろ」。
不良生徒達を諫めている兄を「凄い人だ」と称賛するような声を聞くようになります。
嫌いな兄と周囲の評価とのギャップに悩み、そんな兄よりも下の自分に苛立ち、ノルンは気持ちの整理が付かなくなっていきます。
そして、寮の自室に引き篭もってしまったときにルーデウスが現れます。
「ノルン。ごめんな。お前、こっちに来てから、つらいだろ?」
「俺さ、お前のこと、よくわかんなくてさ。
こんな事になっても、どうすればいいのかわからないんだ」
とルーデウスの言葉を聞き、不安げな様子を見て父パウロと重ねて見えてきます。
ルーデウスは自分に拒絶されるのが怖いのだと言う事がわかり、得体の知れない兄が何を考えているのかを理解していきます。
私は兄を許さなければならないのだ
ノルンはルーデウスの胸で泣き、自分の中で整理を付けます。
次の日からノルンは明るくなり、これまで学内では無視していたルーデウスにも
「兄さん、おはようございます」
と挨拶する程度には心を開くようになりました。
月日がたち、ルーデウスから剣術を習い始めたり、失敗しながらも何事にも直向に取り組む姿勢に多数のファンができ集団が出来上がったり、その集団に秩序が必要と感じたルーデウスにより、ノルン・グレイラット公設ファンクラブが結成されたり、アリエルに求心力を買われて生徒会に入ったり、後に生徒会長になったりと、ラノア魔法大学での生活を過ごしていきます。
3.運命の相手
ラノア魔法大学卒業後、魔術ギルド本部事務員をしていたノルン。そこにルーデウスが縁談話を持っていくこととなります。
発端は社長の「ノルン・グレイラットを結婚させよう」という言葉です。
これにルーデウスは反発し、家族を守るためにオルステッドと戦うことを決めます。
「まて。お前は勘違いをしている」
というのも、ルーデウスが使えている社長オルステッドの知る世界。
ルーデウスのいるルートとは違う、いわゆるifの世界でノルンの子供に何度も助けられたことがあり、このままでは生を受けることの無いであろうその人物を憂い、可能であれば存在させてやりたいという思いからでした。
戦略的にはルーデウスの存在により、いなくても問題無いという判断となっています。
「それで、ノルンの相手というのは誰なんですか?
ノルンは毎回、その人物と結婚するんですよね?」
「ああ、俺の知る限り、ノルン・グレイラットの相手は決っている」
何度もループを経験しているオルステッドは言います。
「ルイジェルド・スペルディアだ」
ルーデウスの頭に500年ほど生きたハゲ頭の戦士の顔が思い浮かびます。
オルステッドの知る歴史では、ノルンは歌って踊れて戦える吟遊詩人の冒険者になる
(戦闘は苦手だったらしい)
ルイジェルドに助けられ一目惚れ、そしてスペルド族の全滅を知ったルイジェルドを献身的に慰め、夫婦となり、子供を授かることとなる。このルイジェルドとノルンの子供にオルステッドは助けられています。この子供はスペルド族最後の戦士となり、疫病で倒れたルイジェルドの意思を継ぎ、スペルド族の不名誉を晴らすべく人族の側に立って魔族と戦い、魔神ラプラスにトドメを刺す存在だった様です。オルステッドの思惑はどうあれノルンの気持ちを第一にしたいルーデウスはノルンの気持ちを確かめることとします。
ノルンとは良好な関係を続けているルーデウスだが、込み入った話などしたことが無かったルーデウスはうまく話を出来るか悩みますが、ノルンからは「好きな人がいる」という事をあっさりと聞くことが出来ます。
その人はルーデウスよりもずっと年上で、頼りになって、いつも守ってくれる人で、妻に先立たれている人とのこと。
ルーデウスから「実はノルン、お前に縁談のような話が上がっていてね」と切り出すと、政略結婚だと思ったノルンは断るでも無く、「縁談ですか……わかりました。お受けします」
と受け入れます。
ノルンには好きな人はいますが、叶わぬ恋だと思っており、貴族では無いにしろ各国の顔つなぎのような立場にいるルーデウスの妹ならそのように使われることもあり得ると思っていたようです。しかし、ルーデウスは家族を道具にするつもりは無く、ノルンが嫌がるならこの縁談は無しだと伝えます。ノルンはどうしても結婚したいというわけでも、したくないというわけでもありませんと断りはしないが、乗り気では無いという気持ちを伝え、先方がどうしてもと言うのなら、進めていただいても構いませんがとルーデウスの言うことなら従うという姿勢を見せます。
ノルンの気持ちを重視したいルーデウスは、この話は無かったことにしようと決めます。
相手がどんな人なのか、世間話としてノルンが聞きます。
「ルイジェルドだよ」
「兄さん、ぜひともその縁談、進めてください!」
興奮と喜びの隠しきれていない声音でノルンは言いました。
ノルンが好きな相手はルイジェルドでした。
小さいころ、リンゴを貰い頭をなでて貰ったこと、パウロから離れ、シャリーアへ向かう道中でずっと寄り添ってくれたこと、それからずっと憧れ続け、部屋にはルイジェルド人形を飾っていた。
ビヘイリル王国の一件で再会し、改めて恋心を自覚した。
しかし、ルイジェルドの過去を知っていたノルンは、自分など相手にされないと思い込み、当然のように恋心は押し隠して生きていこうと決めていた。
ノルンの気持ちを知ったルーデウスは、
「わかった、お兄ちゃんに任せておきなさい」と
結婚の根回しを始めることとなります。
この縁談は、スペルド族のためになる縁談でした。
この時のルーデウスは龍神の腹心という立場にあり、同盟の結束を深める意味でも双方に利のあることでもあった。
ルイジェルドはスペルド族の中でも立場のある人間であり、ルーデウスの家族となることは彼の願いでもあるスペルド族の復興にも、重要な意味を持つ物であった。
しかし、「仕方なし」に結婚をして、ノルンは幸せになれるのかと危惧したルーデウスはルイジェルドに探りを入れることにします。
どう切り出したらいいか悩むルーデウスに、訝しい表情をしながらも黙って言葉を待つルイジェルド
ノルンがロクでもない男を連れてきたら「ノルンが欲しければこの俺を倒していくがいい!」とか言うつもりですよと冗談めかして言うルーデウス。
「つまり、ノルンを嫁にもらいたければ、お前を倒さなければいけないということか?」
真っすぐなルイジェルドの言葉にルーデウスはノルンを守るための胆力が必要だと言い訳します。
そして、ルーデウスは切り出します。
「ノルンのことをどう思いますか?」
「……ルーデウス、表に出ろ」
と立てかけてあった槍を持ち、ルーデウスと戦います。
しかし、一瞬でルーデウスは地面に転がされ、敗北します。
「では、約束通り、お前の妹をもらう」
ルイジェルドもまたノルンに好意を持っており、
「俺はノルンに懸想している」
思いをかけ、恋い慕っている事を明かします。
ビヘイリル王国での戦いの時、献身的に看護をしてくれるノルンに好意を持つようになった。
「改めて言わせてもらおう。ノルン・グレイラットを妻に迎えたい」
ルイジェルドはスペルド族の族長補佐のような立場であり、政略的にはビヘイリル王国の王族か貴族と結婚する方が良い。それでもルーデウスの家を選んでくれたことに熱い物が胸にこみ上げながらもノルンの事を思うルーデウスは続けます。
「……どんな時でも、ノルンを守ってくれますか?」
「ああ」
「結婚したら、ノルンは違う種族に囲まれて、家族からも離れて、大変だと思うのですが、支えてくれますか?」
「ああ」
「ノルンが、ちょっとした事で拗ねたり嫌なことを言っても、愛想をつかさないでいてくれますか?」
「ああ」
「ノルンは、ミリス教徒ですけど……浮気しないでくれますか?」
「ああ」
「ノルンは、あいつ、俺よりも泣き虫ですけど、いいですか?」
「ああ。だからお前も泣くな」
「問題ない。全てわかっている」
彼の言葉は短いが声音は誠実で、その顔は真剣で、視線は真摯であった。
ルイジェルドを知るルーデウスは彼ならノルンを死ぬまで守ってくれると安心し、ノルンを嫁に出すことに決めます。
そして、ルーデウスが動き、結婚式がスペルド族の方式とミリス式で行われ、ノルンとルイジェルドが結婚します。
その後ノルンは、ルイジェルドとの間にノルンそっくりの顔に、緑色の髪とキュートな尻尾、額に宝石を持つ、スペルド族の女の子、ルイシェリア・スペルディアを産みます。
この名前を聞いた社長オルステッドはとてつもなく怖い顔で、笑います。
きっと、思い出にある名前と一致していたのだろうとルーデウスは推測します。
社長オルステッドの知るスペルド族が疫病で全滅している世界。
夫婦となったノルンとルイジェルドですが、ルイジェルドは疫病で病死しており、残されたノルンは、責任を持って子供を育て、寿命でその一生を終える。寂しく切ない最後だと思うが、オルステッドいわく、ノルンは満足した死に顔だったとのこと。
しかし、今はスペルド族は疫病から解放されて生き残っており、ルイジェルドも病死していません。きっとノルンはより幸せに暮らしていくのでは無いでしょうか。
また、オルステッドのループした世界では、何度もノルンとルイジェルドの子供に助けられたと言っており、ルーデウスが現れた世界でも結ばれるまさに運命の相手なのです。
ノルンはルイジェルドを支えながら
『天才の苦悩 アイシャ・グレイラット』
『大魔術師ルーデウスの冒険』
『自伝 天才に囲まれた凡人』などの著書を出しています。
そして、スペルド族の復興のために
『スペルド族の冒険』も出版しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿