シュンの兄、ユリウスが活躍し、命を落とした人魔大戦。強大化し、人族領へ侵攻を始めた魔王軍を迎え撃つための双方の総力を結集した大戦です。双方に多大な被害をもたらした戦争には何やら違和感があります。
そんな人魔大戦の表と裏。そして隠された真実をご紹介します。
声優情報もあります。
※ネタバレがあります。見たくない方はブラウザバックでお戻りください。
1.人族の戦い 人魔大戦表
ロナント老の戦い。
人族最高の実力を誇る魔法使いロナント老は、魔王軍ヒュウイ率いる第六軍とダーザロー砦で相対した。
ヒュウイもまた、魔族軍の中でも指折りの魔法使い。当然そのヒュウイが率いる軍団も、魔法戦闘を得意としており、激しい魔法の撃ち合いが展開された。
この世界の魔法戦では下級魔法で牽制し、大魔法を打つタイミングを図るのが定石であるが、ロナント老とその弟子たちは、その逆をついた。
弟子たちは下級の魔法の威力を底上げする特殊な研鑽を積んでおり、ヒュウイがその事実に気づいた時には形勢は大きく人族に傾いていた。
混乱する魔王軍にロナント老の秘奥によって、ヒュウイは打ち取られた。
クニヒコとアサカの戦い。
魔王軍第四軍と相対した転生者のクニヒコとアサカ。奇しくも転生先の故郷を滅ぼしたメラゾフィスと対決することとなる。
実力ではS級冒険者にも劣らない二人だが、剣も魔法も、正確無比、全てが高レベルのメラゾフィスに二人がかりで、防戦一方となっていた。
それでも魔王軍の将メラゾフィスを止められるのは自分たちしかいないと剣を振り続ける。
その時、ロナントの弟子であるオーレルが遠距離から大魔法により、魔王軍四軍に大打撃を与えた。
継戦は難しいとメラゾフィスは軍を撤退させる。クニヒコとアサカは見逃され、この戦いは引き分けとなる。
ユリウスの戦い
戦線が異常に広がった戦争に違和感を覚えつつも、勇者として人族のために戦場に立ったユリウス。第七軍と戦闘となり、ユリウスパーティーの強さによって多くの魔族を討ち取る。
第七軍の将ブロウはユリウス達の前に現れ、ユリウスとの一騎打ちを挑む。それまで魔族を一太刀のもとに討ち取ってきたユリウスの剣をブロウは受け止める。ユリウスは聖光の力を使い、激戦の末ブロウを討ち取る。
その直後、「白」が現れ、死滅の邪眼、闇と腐食によってユリウスは痛みも感じる間もなく消滅した。
2.魔族の戦い 人魔大戦裏
メラゾフィスの戦い。
魔王軍第四軍の将であるメラゾフィスはクニヒコとアサカと相対した。彼らの故郷を滅ぼしたメラゾフィスは彼らの憎しみを背負い、仇となることを誓っている。
単純な能力であればメラゾフィスの圧勝となる戦いであるが、転生者は殺すわけにはいかないという蜘蛛子からの制約があり、太陽の輝く昼間。制約と吸血鬼としての弱体化の中で、戦える転生者二人と援護に人族最高クラスの魔法使い。
戦闘では圧倒していたが、殺さずに手加減しつつ相手を無力化するのは難しいと判断。
オーレルの大魔法により被害が出たことで、メラゾフィスは撤退した。
ラースの戦い。
懲罰部隊である第八軍団を率いているラース。指揮能力がない彼は人魔大戦では督戦を兼ねて自ら最前線に立ちながら、傘下の兵たちを積極的に死地に追い込むような破滅的な戦線を担った。
布陣した第八軍の背後に地雷を仕込み、逃げ出すならば、直々に切ると自軍を追い込み、人族の砦を魔剣の遠投で破壊し、人族を追い立て、泥沼の乱戦を引き起こした。
被害が広がっていく中、ラースがまだオーガだったときに戦った老騎士が現れる。
ラースは老騎士を事もなく討ち取ると、彼は人族の重要人物だったらしく、人族の軍は瓦解し、第八軍は勝利を収めた。
ソフィアの戦い。
ソフィアは人魔大戦の戦場とは離れた市街地にいた。ご主人様が流した情報により、戦争の混乱に乗じて暗躍するエルフをおびき寄せる餌となっていた。
戦争に参加できず、欲求を満たせないこと。
苦手なフェルミナと一緒にいること。
そのフェルミナがご主人様から蜘蛛を預かっていることに嫉妬。
など、ソフィアはフラストレーションをためていた。
そこにフードを被った集団、エルフが襲撃してくる。
異世界でも有数の力を持っているソフィアは、エルフを魔剣で蹴散らしていくが、
一体のエルフに無防備に殴られる。強化されたエルフのリーダーに魔剣が通らず、困惑する。エルフは掌からレーザーを打つなど機械化された個体だった。しかし、ソフィアの全力の一撃によって真っ二つにされ、とどめを刺された後はフェルミナに回収され、ご主人様の手に渡った。
白の戦い全体結果。
「白」は勇者殺害のときまで、分体を通していくつもある戦場の風景を同時に把握していた。
第一軍は「白」が召喚したクイーンタラテクトによって、相手の砦もろとも完全に崩壊させられた。
第二軍はアノグラッチにより砦占拠された。
第三軍のところは人族が砦を放棄して撤退。
第四軍はメラゾフィスが撤退を指示し、後退。
第五軍も撤退。
第六軍将がやられ、副軍団長が撤退を指示。
第八軍は、ラースがやりすぎて殲滅完了。
最終的に、魔族が勝利したのが四箇所。
人族の勝利したのが三箇所。
両者全滅で引き分けが一箇所となっている。
魔王軍が辛くも勝利しているが、双方の被害は甚大で「白」の目的通りとなった。
3.仕組まれた戦争 人魔大戦 真実
表向きは拡大する魔族の人族領への侵攻が戦争の発端となっていますが、真実は人族最大の影響力を持つ真言教と魔王軍で仕組まれた戦争でした。
人族の存続を第一に考えている教皇ダスティンは、世界の真実を告げられる「禁忌」をカンストしており、世界の危機を知っていました。
蜘蛛子は人魔大戦の前に2度に渡り非公式会談を行っており、そこでMAエネルギーの枯渇と魂の摩耗により、世界の崩壊は止められないことを教皇と共有します。
この戦争は、居住する星に組み込まれた「システム」によって不足しているMAエネルギーの回収にあり、そのためにはより多くの死者を出さなければならないというものでした。
目的は勝利ではなく双方に死者を出すこと。
そのため、魔王軍は個人としては圧倒的な力を持っている者もいましたが、あえて戦場には出ず、より被害が拡大する方に誘導していました。
ダスティンにおいては、人族を存続させるために人族が大量に死ぬ戦争を引き起こすという、一見すると矛盾した戦争を起こした張本人の一人です。
そして、多くの死者を出した人魔大戦はその目的を達したのでした。
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